米連邦捜査局(FBI)はブロードバンド回線を利用したインターネット(IP)電話の普及に頭を抱えている。従来の電話や携帯電話に比べ傍受が難しいためだ. 二年前の米中枢同時テロをきっかけに施行された愛国者法の一環で、容疑者の電話、携帯電話、電子メールを裁判所の許可なく傍受できるようにFBIの捜査権限が大幅に拡大したが、「技術的に傍受が難しいブロードバンド利用のインターネット電話」(米政府筋)という新たな敵に直面している。 一方、連邦通信委員会(FCC)は、ブロードバンド利用の電話は通信事業ではなく、情報サービスの範疇に入るという独自の判断のもと、ブロードバンドの規制緩和を推進中だ。この考えが認められれば、インターネット電話は捜査対象から外されることになる。 FBIはブロードバンド利用のIP電話、電子メールも傍受対象に含まれるべきと主張して対立しているが、プライバシー保護の観点からもFBIの主張が通るかどうかは微妙。利用者も現在の十万人から数年後には四百万人に急増する見込みで、FBIに不利な状況がしばらく続きそうだ。

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