電力会社と都市ガスの大合併が静かに動き始めた。七月末、中部電力と大阪ガスは滋賀県と三重県の間で両社の天然ガスパイプラインを結合する計画を発表した。「距離的に六十―八十キロの延伸で済むうえ、天然ガス需給の安定化を図れる」(中部電力関係者)とは表向きで、トップの間では経営統合の話が進められている模様だ。 東京電力と東京ガスは数年前、一部役員と企画部が関わって合併計画を描いたものの「公正取引委員会が承認する可能性はない」として断念。一方、中部電と大ガスは供給エリアが完全に分かれており、「公取の反対はない」と関係者はみる。むしろ中部電と関西電力、大ガスと東邦ガスなど地域独占企業間の越境競争を促進するため歓迎されるとの分析もある。 両社の連結売上規模では約二対一と中部電が優位だが、大ガスも関西財界の力を背景に、対等に近い発言力維持も不可能ではない。電力、ガスの小売り全面自由化が現実化すれば合併構想は一気に加速、二〇〇六、七年までに日本初の電力・都市ガス会社誕生が現実味を増してくる。

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