東南アジア「武器密輸ネットワーク」最新地図

執筆者:竹田いさみ2003年10月号

テロが絶え間なく起こるのは、武器供給源と資金があるからだ。テロリストへの密輸ルートを、詳細な現地調査をもとに明かす。 九・一一同時多発テロから二年が経過した。この間、東南アジア地域でも大型の爆弾テロ事件が立て続けに発生し、テロは広域化の様相を呈している。 昨年十月、インドネシアのバリ島のナイトクラブで白人観光客を狙った爆弾テロ事件が起き、今年八月にはジャカルタ市内の米国系最高級ホテル「JWマリオット」が標的となった。どちらの事件も、イスラム過激派「ジェマー・イスラミア(JI)」の関与が判明している。八月にはJI工作員がタイやカンボジアで相次いで逮捕され、工作員の活動範囲の広さがあらためて明らかになった。 JIは、九・一一テロを実行したグローバルなテロ集団「アル・カエダ」の東南アジア支部であり、反米闘争でアル・カエダと連携しつつ、東南アジア地域で国境を越えたイスラム共同体の建設を目指している。これらの目標を実現するための手段が、爆弾テロにほかならない。JIのテロ活動の広域化、大型化を可能にしている背景として、次の二点を指摘しておきたい。第一にテロ活動を持続できるだけの豊富な資金源を有しているということ。第二に多種多様な武器を融通無礙に入手できる武器密輸のルートが東南アジアに存在するということである。こうした資金源と密輸ルートを断ち切らない限り、東南アジアでの大型テロ活動は今後も続く。

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