“内部告発”が会社を強くする?

執筆者:堀田昌之2003年10月号

 この数年来、三菱自動車、日本ハム、三井物産、東京電力といったトップ企業による法令違反が頻発し、企業にとってコンプライアンス(法令遵守)体制の整備が焦眉の急となっている。コンプライアンス体制で重要な役割を果たすのが“内部告発”の受付。最近では「ヘルプライン」「内部通報制度」と呼ばれる仕組みだ。これを活用して不祥事を未然に防ごうとする企業が増えている。と同時に、“内部告発”をめぐる新たなビジネスも生まれている。「二万七千人の社員のうちたった三人が数百万円の利益のために法令を犯して、計り知れない不利益を被った。いくら最大の利益を求めるのが企業活動だと言っても、法令違反を犯すリスクに見合う利益などありえない」 日本ハムの宮地敏通経営倫理室長は、昨年八月に発覚した子会社による政府のBSE(狂牛病)対策を悪用した牛肉偽装をこう振り返る。事件の影響で二〇〇三年三月期の連結売上高は九千九十九億円で前年比三・七%マイナス。消費者はいまだに事件を忘れていないが、一方で、日本ハムは最もコンプライアンス体制の整備に熱心な会社の一つになった。創業一族の大社啓二前社長(現常務執行役員)から代わった藤井良清社長の下、体質改善は現在も継続中だ。

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