プーチン露大統領がサンクトペテルブルク副市長(対外関係担当)を務めていた一九九〇年代前半、マフィアの資金洗浄や違法行為に加担していたとの疑惑を追及した本がドイツで出版された。『東方から来たギャング』(ユルゲン・ロート著)がそれで、プーチン氏が顧問を務めたサンクトペテルブルク不動産(SPAG)が、ロシアのマフィア組織タンボフ・グループと組んでコロンビアの麻薬密売組織の資金を洗浄したり、売春や違法土地取引に関与したことをドイツ側捜査資料を交えて詳述。疑惑は欧米メディアでも先に報じられたが、この本はプーチン氏がこれまで伝えられた以上にSPAGの活動に深く関わっていたことを詳述している。 大統領府の厳重な統制下にあるロシアのメディアが無視する中、英字紙モスコー・タイムズだけが要旨を転載した。チェチェン問題など“弱み”には猛反発する同大統領だけに、同紙への報復があるとの見方が出ている。 この疑惑では、逮捕された関係者の裁判が近くリヒテンシュタインで開廷する予定で、爆弾証言が飛び出せば、クリーンを売り物にする大統領にはピンチとなる。

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