泥沼化する日本道路公団の藤井治芳総裁の更迭問題で自民党の道路族が戦々恐々としている。藤井氏が徹底抗戦の姿勢を強めているためだ。意外なまでの強気は、「一蓮托生ですべてを知る道路族議員に対する無言のSOSサイン」(国土交通省幹部)とも受け取れ、藤井氏を下手に放置すれば「暴発」しかねない。 一九六二年に旧建設省に入省した藤井氏は、有料道路課長や道路局長、技監を歴任し、九五年六月には建設事務次官に。九八年十一月、日本道路公団に副総裁で天下り、二〇〇〇年六月に総裁に就任した。日本道路公団総裁は、事務次官経験者でも「実力者」しか就けないポストだ。 公共事業を扱う建設省のドンとして君臨するには「道路族の後ろ盾がなければ無理」(同)というのが定説。竹下登元首相との結びつきが強かったとされる藤井氏は現在「村岡兼造元官房長官らと近い」(橋本派幹部)と囁かれるが、一方で青木幹雄参院幹事長や古賀誠元幹事長派とは疎遠とも。 藤井氏の反撃は、十一月の次期衆院選を前に、自民党の攪乱要因になる可能性も出てきた。

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