海賊・テロ事件が続発するアジア海域。海の安全を守るため、各国の海上警備機関の強力な連携が求められている。 この九月、海上保安庁の大型巡視船「しきしま」は、オーストラリア沖で行なわれた「拡散安全保障イニシアティブ(PSI)」に基づく初の合同阻止訓練「パシフィック・プロテクター」に参加した。参加は、米国をはじめとする関係国からの強い要請に基づくものであった。海上保安庁が国際的な役割を果たすことへの期待が高まっているのである。 昨今、アジア地域でも各国の海上保安機関の海上警備、海難救助分野における協力関係の構築が進められている。その中心は、日本の海上保安庁である。英語でJapan Coast Guardと呼ばれる海上保安庁は、アジア海域の海上秩序維持のために積極的な活動を開始している。 こうした海上保安庁の国際化は、アジア海域において多発する海賊事件への対応とともに進められて来た。近年は、アジア諸国の海上警備機関との海賊対策・救難活動の合同連携訓練を、年に二―三回の割合で実施している。また、南シナ海などの公海上で、小型ジェット機ファルコン900やヘリコプター搭載型の巡視船で哨戒活動を行なっている。現在では、海賊問題だけでなく海上テロへの対応も重要な課題となっている。

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