GMとフォードが合併する日

執筆者:真羽志紀2003年12月号

九〇年代後半からの大再編を経て、勝者の地位を獲得したはずのビッグスリー。その経営状態はいま、悪化の一途をたどっている。コストカットを続けても改善しない財務、次第に細る資金力……。彼らは一体、何を間違えたのか。[デトロイト発]「二〇一X年X月X日、米ゼネラル・モーターズ(GM)と米フォード・モーターは、両社が合併に向けて基本合意したと発表。新会社GMフォードは業界首位・トヨタ自動車グループを抜き去り、再び最大手の座に躍り出る。一九九〇年代後半に起きた再編劇は六大自動車グループをつくりだしたが、GM・フォードの合併で自動車業界は新たな再編の時代を迎えた」――。 いまはまだ、突拍子もない合併劇に聞こえるだろう。業績悪化が顕著になりつつあるとはいえ、GM、フォードにダイムラークライスラーのクライスラー部門を加えたビッグスリーの米国シェアは、今年十月末現在で六一・八%ある。そのうち、GMとフォードの上位二社で四七・三%。現在の状況が続くのであれば、反トラスト法(米独占禁止法)をクリアできず、司法省の合併承認を得られるはずがない。 しかし長期的にみれば、あながち荒唐無稽とは言えないはずだ。ウォール街のアナリストたちは、ビッグスリーのシェアが五〇%割れになる時期を二〇一〇年前後と分析している。三社の力が今後、急速に衰えるとみているからだ。

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