ハイブリッドで「次世代」を攻めるという選択

執筆者:白水徳彦2003年12月号

トヨタのシステムが世界ナンバー1であることを疑う人はいない。だが、優れたものが常に生き残るとは限らないのが技術の世界だ。業界標準を獲るのは誰か。そしてハイブリッドは本当に有望なのか。[デトロイト発]トヨタから初代「プリウス」が発売された一九九七年当時、エンジンと電気モーターを組み合わせたハイブリッド技術は、手探り状態で開発された業界初の試みだった。 それから六年。ハイブリッドは新しモノ好きのための「走る実験室」から、次第に「普通のクルマに近づいた商品」として、着実にひとつの市場を形成しようとしている。 ハイブリッドの開発競争は、トヨタの初代「プリウス」を追撃して九九年にホンダが二人乗りの「インサイト」を投入する形で始まった。両社はその後、二〇〇〇年にも「プリウス」と「インサイト」を高速運転での燃費効果が得られるように改良し、米国市場で発売している。 旧型に比べ加速性能などが改善された二代目「プリウス」。これも今年九月に日本で発売されて以降、好調な受注が続いている。約一カ月遅れで発売された米国市場でも、予想を上回る売れ行きを見せている。 ビッグスリーは当初、ハイブリッドはビジネスとして成功しないとタカをくくり、一歩距離を置いていた。だが、各社とも最近では、相次いでハイブリッド市場攻略に動き出している。

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