米ビッグスリーの一角を占めるフォード・モーターが不振に喘いでいる。トヨタやホンダなど日本勢に対抗して実施した、金利ゼロキャンペーンなどの赤字覚悟の需要創出策や販売奨励金の負担が膨らみ、今年七―九月期の決算では、自動車部門は六億ドルの赤字。ノンバンクなど金融部門でかろうじて黒字を確保した。 こうした状況下、英ジャガーなど派手な買収劇で傘下に収めたブランドのひとつ、スウェーデンのボルボの売却を検討しているという話が業界筋で語られ始めた。「フォードは年金の積立不足も百億ドル以上あり、比較的ブランド力のあるボルボを売却することでその穴埋めをする」(大手自動車メーカー幹部)という。 そして、このボルボの取得を水面下で探っているのがトヨタ自動車だという。この中間期に過去最高益を記録、年間でも一兆円の最終利益に迫る絶好調のトヨタにとって、「最大の課題は高級車部門のブランドの確立」(同)とされる。日本で人気があるボルボを傘下に入れることで「高級車のラインアップを増やすほか、欧州での事業の拡大につなげるのが狙い」とトヨタ関係者は解説する。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。