悩める青瓦台の主

執筆者:名越健郎2003年12月号

 今年2月に就任したばかりの韓国の盧武鉉大統領が、側近の選挙資金不正疑惑や支持率低下、野党の攻勢強化で早くも内政危機に直面している。 野党・ハンナラ党の金秉浩広報委員長は「大統領はカエルだ。オタマジャクシの時代を忘れ、いつまでもしゃべり続け、時々哀しく鳴き、どこに跳ぶか分からない」と攻撃した。野党からは長年政権を離れている恨み節が聞こえるが、けんかを売られた大統領は12月に直接有権者の信を問うと述べ、異例の国民投票実施を提案した。 経済、外交で難題が山積みなのに、韓国は伝統的な内政動揺が予想される。 盧武鉉大統領が内外政策に頭を痛めていると、神が現れた。「就任したばかりの君が何をくよくよしているのだ。君の願いをかなえてやろう」「では、北朝鮮を開放的で話の通じる国にしてください」「それは無理だ。別の願いにしてくれ」「では、韓国の与野党対立を解消し、国内の融和を実現させてください」「……北朝鮮の方をやってみよう」 名誉を失墜した全斗煥、盧泰愚、金泳三、金大中の4人の歴代大統領が集まって、盧武鉉大統領の統治を酷評した。「少なくとも、われわれは在任中、これほど威信を失ったことはなかった」 盧武鉉大統領が就任後、青瓦台(大統領官邸)に移ると、青瓦台に住み着いている犬が見知らぬ大統領に噛み付いた。

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