フランスのエールフランス航空とオランダのKLMオランダ航空が二〇〇四年四月に経営統合することで、世界の航空業界の勢力図が大きく変わる可能性がでてきた。エールフランスや米デルタ航空、大韓航空などで構成する国際航空連合「スカイチーム」が力を増し、米ユナイテッド航空、全日本空輸などが入る最大の航空連合「スター・アライアンス」に肉薄する見通しだからだ。 エールフランスはイタリアの国営アリタリア航空との統合にも「アリタリアの民営化が進めば可能」(幹部)と乗り気。イタリア政府は二〇〇三年十一月に政府持ち株比率を現在の六二%から五〇%以下に引き下げることを決定、統合手続きの開始は時間の問題とみられる。 スカイチームには米ノースウエスト航空と米コンチネンタル航空も加わる公算で、世界の航空市場にしめるシェアは現在の二倍近い二〇%強に上がりそうだ。他社も経営戦略の練り直しを迫られるのは間違いなく、「航空業界全体で合併・買収(M&A)の動きが活発化するのではないか」とエールフランスのスピネッタ会長兼CEO(最高経営責任者)は予想する。 こうしたなかで台風の眼となりそうなのが日本航空システム(JAL)。同社はどの航空連合とも「等距離外交」を続け、個別に提携してきた。エールフランスは自陣営にJALを招き入れスター・アライアンスを大きく引き離したい考えで、兼子勲JAL社長にも何度か申し入れている。スカイチームに抜かれれば世界シェア三位に転落する「ワン・ワールド」(米アメリカン航空や英ブリティッシュ・エアウェイズなどが加盟)も、JALを加えれば巻き返しが可能になる。

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