イラクでのテロ頻発などを受けて日本の公安当局が最大級の警戒を強めている。その主たる対象は「出稼ぎなどを装う東南アジア系のイスラム原理主義者の入国」(警察庁幹部)だという。 イラク戦争開戦を機に警察庁は二〇〇三年三月、「緊急テロ対策本部」を作り、日本を標的としたテロの防止に取り組んできた。警察庁に緊張が走ったのは「東南アジア系の原理主義者に要注意」という情報を、米中央情報局(CIA)が最近もたらしたからだという。 イラクへの自衛隊派遣計画に関連して、アル・カエダの一派と目される人物が二度にわたり「東京の心臓部を攻撃する」などと警告してきた時期とちょうど重なっていた。 日本側の水際作戦は容易ではない。サウジアラビアなど中近東からのヒゲをたくわえた旅行者ならマークもしやすいが、東南アジアからの渡航者は出稼ぎ者らを含めて数が多いうえに、「外見上の見極めがきわめて難しい」(成田空港関係者)からだ。 彼らはアル・カエダの指示を受けて入国してくる可能性があるといわれ、比較的準備がしやすい「細菌テロを仕掛けてくる」(警察庁幹部)シナリオまで指摘されている。

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