その「国益」は本心か? かけ声だけは立派でも、天下り先と権益の確保のためでしかない動きがさらに増えている。 初値三千五百四十円――。十二月十日午前九時、東京証券取引所第一部の取引が始まった途端、上場初の売買が成立したことを示す電光掲示が走り、見守った関係者は満面の笑みを浮かべた。 この日、上場したのは石油公団傘下の大手石油開発会社、石油資源開発。普通名詞の羅列のため、一般の人はもちろん業界関係者の会話でもまぎらわしい。業界ではもっぱらアルファベットの略称で「SK」と呼ばれる。久しぶりに大型上場が相次いだ二〇〇三年の東証でも上場時価総額はセイコーエプソン、NECエレクトロニクスに次ぐ第三位で、およそ二千億円。原油市況が高止まりし、イラクなど中東情勢も混沌としていることからエネルギー銘柄として一般投資家にまで人気を呼び、株価は初日一時、四千四十円まで上昇した。 だが、SK上場の成功はエネルギー政策を牛耳ってきた経済産業省にとって、むしろ痛恨の出来事に違いない。SK上場とその経緯こそ、二〇〇五年三月に廃止の迫る石油公団の問題はじめ日本の石油政策の失敗、第一次石油危機以来三十年にわたるエネルギー失政をいびつな形で示すエピソードなのである。

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