薄型テレビで出遅れたソニーは昨年、韓国のサムスン電子から液晶パネルの優先供給を受ける包括的な提携契約を結び、業界に衝撃を与えた。その提携が裏目に出る恐れが強まっている。 薄型テレビの市場の拡大によって液晶パネルの需給は逼迫中。ソニーに液晶パネルを供給してきたシャープや韓国LG電子は、「いずれサムスン一社に調達を絞る相手にモノは渡せない」と、ソニーへの供給を急速に絞り始めた。 肝心のサムスンは、ソニーと合併で来年夏に第七世代の液晶工場を立ち上げるまでは供給力に限界がある。今年は八月のアテネ五輪を目指して「上半期が薄型テレビ商戦の天王山」(家電量販店)だが、その時期にソニーの薄型テレビが品切れを起こす不安が一部で指摘されている。 ソニーはこれまでベガエンジンなど自社開発の画像処理システムの優秀性で他社と差別化し、店頭での競争力を保ってきた。だが、高精細の液晶パネル自体が競争力の源泉となるなか、自前のタマがない不利は否めない。カラーテレビ発売以来という買い換えのチャンスを失うならば、ソニー復活の日はさらに遠のきかねない。

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