昨年の総選挙で相沢英之元金融再生委員長が落選し、金融庁が「ポスト相沢」探しに動いている。小泉首相とタッグを組む竹中平蔵金融相と違い、金融関連法案で与党内の調整役だった相沢氏は、なにかと便利な「影の金融相」的存在。金子一義行政改革・産業再生担当相、高木祥吉金融庁長官とともに、イニシャルを並べて「金融行政を牛耳るAKT」などとも呼ばれていた。 本来ならばポスト相沢の筆頭は昨年九月の内閣改造で金融相就任が噂された金子氏だが、現在は閣内にいる。かつて「金融再生トータルプラン」で名を馳せた保岡興治元法相は過去の人。塩崎恭久自民党前財務金融部会長は「人望がない」(自民党幹部)。 そこで金融庁が白羽の矢を立てたのが、柳沢伯夫前金融相とか。足利銀行の破綻処理の際にも竹中金融相や金融庁幹部が事前に柳沢氏を訪ねたとされ、すでに新たな「影の金融相」との声もある。金融相を二度務め、一昨年の内閣改造で更迭された柳沢氏は、これまで竹中金融庁と距離を置いてきた。再び金融行政の舞台にお声がかかったら、通された先が舞台裏とは皮肉な話ではある。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。