太陽電池 究極のエネルギー開発

執筆者:水木楊2004年2月号

 物が売れない今の日本で、年率三〇%の伸びで売れている商品がある。屋根に取り付ける太陽電池である。全国での普及台数はまだ十二万戸。普及率は〇・五%に過ぎないが、その生産量は世界一。世界に占める生産シェアも四五%と断トツ。日本は「太陽電池先進国」である。 この太陽電池を日本で初めて自宅に取り付けたのが、三洋電機社長の桑野幸徳氏(六二)。十一年前のことだった。屋根とベランダに一・八キロワットの発電能力を持つ太陽電池を取り付けた。太陽光による直流の電気は交流に変えられ、自宅の照明や家電などに使われる。それでも使いきれず、昼間は余った電気を関西電力に売る。だから、自宅を「桑野太陽光発電所」と名づけた。夜は太陽光がないから、電気を買う。一九九二年に、電力会社が売電だけではなく買電もするようになって初めて可能になったシステムだ。取り付けた当時の装置代は約一千万円。今は二百万円にまで下がった。装置と取り付け費用の約一五%は経済産業省から補助金が出る。自治体など公共の補助とあわせると、補助率が二〇%から三〇%になることもある。「人類は化石燃料を使って、今日の豊かさを享受しているが、その化石燃料も元はと言えば、太陽の光を何億年もかけて蓄積した有機物。それを一瞬のうちに燃やしている。しかし、太陽光発電なら永久に持続する。孫、曾孫の世代のためを考えれば、これを使わない手はない」

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