アメリカ大統領選挙を揺さぶるポピュリズム

執筆者:会田弘継2004年3月号

民主党大統領候補のトップを走るケリー、二番手に急浮上したエドワーズ、一時は旋風を巻き起こしたディーン。彼らの主張には、米国政治を彩るポピュリズムが、それぞれに形を変えて顔を出している。このポピュリズムの動向こそが、秋の大統領選の行方を大きく左右する――。 再び一つの政治潮流が動き出しているのが明らかに見て取れた。「Bring it on!(かかってこい)」 六十歳になったばかりの長身のジョン・ケリー上院議員が指を突きつけるようにしてこの言葉を吐くと、集まった二千人近い聴衆は沸き立って応じた。「Bring it on! Bring it on!」 ニューハンプシャー州南部ナシュアのサウス・ハイスクール体育館。同州予備選直前の一月最後の日曜の支援集会は熱気に包まれ、外は零下六度だというのに、応援演説に立ったエドワード・ケネディ上院議員の額には玉の汗。壇上のケリー議員ははじめから上着を脱ぎ捨て、ネクタイなし、襟を開いたシャツ姿だ。「コネを使って一儲けしているヤツ、でっかい石油会社や製薬会社、ホワイトハウスに巣くっている特殊利益団体! 今からこっちが行くから、おまえたちは出ていく番だ。出ていくときは、ドアにぶつかんないようにしな!」

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