めでたさも中ぐらい新生銀上場

執筆者:2004年3月号

 他人の財布の話だから、放っておけばいいようなものだが、どうにもこうにも釈然としない話なので、あえて書く。新生銀行の上場の話である。日本長期信用銀行は名に反して「信用」をなくすような経営をしたため破綻し、外国資本に買い取られ、名前も文字通り「新生銀行」となり、わずか四年で“めでたく”上場・公開されることになった。 売り出し価格は仮条件(四百五十円―五百二十五円)として示していた上限の一株五百二十五円。売り出し株式数は国内二億四千二百万株、海外一億九千八百万株の計四億四千万株。そのほかに追加分(オーバーアロットメント)として三千六百三十万株売り出すという。上限一杯の価格設定や売り出し株数を見ても、かなり人気を呼ぶことを想定しているようだ。 単純に計算すると売り出し価格に株数を掛けると二千三百十億円となる。一時、国有化された旧長銀を買ったのは、投資グループのリップルウッド(買収のためにニュー・LTCB・パートナーズ=NLPを結成)。旧長銀の株式二十四億株を何とわずか十億円で取得したのである。その上で新規株式三億株発行に千二百億円。合計千二百十億円つぎ込んだことになる。今回、株公開で二千三百十億円入るわけだから、ざっと言って手にする利益は倍返しだ。

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