昨年十二月二十二日、北京の釣魚台賓館で中国再保険グループの設立式典が開かれた。保険監督管理委員会の呉定富主席は「中国の保険市場の発展につながる」とおきまりのあいさつ。だがこのグループの置かれた状況はそう生易しくない。 WTO(世界貿易機関)加盟まで中国再保険は、国内の保険会社が集めた契約の二割を再保険取引で自動的に引き受けることができた。だが、二〇〇五年末にこの保護規定はなくなる。持ち株会社の下に生損保二つの再保険会社を分離した今回のグループ化は、顧客である一般の生損保に見捨てられないよう専門性を高めるための生き残り策だ。 二〇〇三年の中国の保険業界は保険料収入が二七%増で、総資産は四一%増。生保の中国人寿保険と損保の中国人民財産保険は海外市場で上場に成功した。地元の新聞ではこうした華やかなニュースばかり伝えられるが、数々の破綻を経験した日本の契約者なら、まず加入に二の足を踏む。 株安下の日本の生保を苦しめ続けたソルベンシーマージン(支払い余力)比率。破綻可能性のバロメーターでもあるこの指標を中国が整えたのはようやく昨年三月。国際基準で十分な支払い余力がある生保はほとんどないとされる。経営をチェックする保険経理人をきちんと採用するようになったのも一―二年前からという。なのに契約者も保険会社も不安を感じていないのは、いざとなれば国が守ってくれると信じ切っているからだ。

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