「弾劾」も逆手にとる盧武鉉の「恨の政治」

執筆者:黒田勝弘2004年4月号

[ソウル発]韓国の内政が混迷を続けている。やっと一年が過ぎた盧武鉉政権だが、野党陣営から国会で大統領解任要求に等しい「弾劾」決議まで突き付けられ瀬戸際に立たされている。三月十二日に「弾劾」案が可決され、盧大統領は大統領の職務を停止された。現在は高建首相が代行している状態だ。四月十五日の総選挙(国会議員選挙)はそうした盧政権に対する“中間評価”のはずだったが、「弾劾」に不満の盧大統領は「選挙結果を見て進退を決断する」と公言しており“中間決算”より“総決算”の様相となった。 しかし支持率三〇%前後で人気は依然、低迷している盧大統領だが、それなりの勝算はある。昨年来の政界に対する検察の政治資金疑惑捜査が保守系の野党陣営に大きな打撃を与えた結果、与党の支持率が上がっているからだ。“敵失”による反射利益ともいえるが、総選挙一カ月前の時点では、すべての世論調査で与党ウリ党が支持率トップに立っている。国会で過半数を占めてきたハンナラ党の凋落は著しい。 政権・与党の強みはテレビを掌握し「政治を変えよう!」の政治PRを大々的に展開していることだ。「弾劾」決議後は「弾劾反対!」のキャンペーンで市民運動を煽っている。そのメッセージは「金権保守体質のハンナラ党支配の政界を変えよう」というものだ。

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