幹部の海外逃亡も相次ぐ「腐敗」の蔓延

執筆者:藤田洋毅2004年4月号

「私の不正も検査せよ」と言い放ち、本格的に腐敗と戦い始めた胡錦濤。しかし、農業や金融など、難題は数多い。 江沢民、プーチン、ブッシュの三人がキャンプデービッドに集い、会談終了後に散歩していると狼の一群が襲ってきた。まず狼に立ち向かったのはブッシュ。「無礼は許さん。ミサイルを撃ちこむぞ」。だが、狼は「そんな脅しは怖くない」と動じない。「ロシアの美女を紹介しますよ」と懐柔にかかったプーチンにも、「美女は世界中にいる」とにべもない。最後に江が、狼の耳元で何ごとかを囁いた。狼は満面に笑みを浮かべ、江と腕を組んで歩き始めた。ブッシュとプーチンは「何を言ったのですか」と聞いた。江は「わが『三つの代表論』を旗印に、特色ある社会主義建設に邁進する中国の実情をありのまま伝えたら、“そこは俺の故郷ではないか”と喜んで、連れていってくれと抱き着いてきたのです」。 ――これは、いま北京で流行っているアネクドートだ。中国人には、意味するところがよくわかる。中国は、どんな美辞麗句で飾ろうと、弱肉強食のルールなきジャングル、すなわち“狼の故郷”になってしまったということだ。 三月十四日に閉幕した第十期全国人民代表大会(全人代)第二回会議の政府活動報告で、温家宝首相がいみじくも語りかけたように、「長年の間に積み重なった底深く構造的な矛盾を解決するには、相当な時間を要する」のだ。

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