プーチン大統領が仕掛けた突然の首相交代劇で、新首相に任命されたミハイル・フラトコフ氏の「裏の素性」に関心が集まっている。 同氏はモスクワの工作機械大学を一九七二年に卒業、七三年からの駐インド大使館勤務を経て、ほぼ一貫して対外経済畑を歩んできた。首相指名時のポストは欧州連合(EU)駐在のロシア大使で、ロシアの世界貿易機関(WTO)加盟交渉やEU拡大に伴う利害調整に携わった。 こうしたリベラルなテクノクラートとの印象の一方で、旧ソ連国家保安委員会(KGB)との密接なつながりも浮上している。外交とは無縁の理系の大学を出たばかりで在外公館に勤務することは、当時のソ連ではKGBの推薦なしには不可能で、インドでは経済スパイとして活動したという。 首相抜擢も、KGB出身でプーチン大統領の右腕であるイワノフ国防相が安全保障会議書記だった時に、同会議の第一副書記に採用された延長線上にある。フラトコフ氏の息子とパトルシェフ連邦保安局(FSB=KGBの後身)長官の息子が、同局の幹部養成所で机を並べていることも、諜報機関と新首相の濃密な関係を窺わせる。

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