リビアの最高指導者カダフィ大佐が国際原子力機関(IAEA)に対して協力を表明したことに、イランが神経を尖らせている。一九九〇年代に核兵器開発をめぐってリビアに協力した経緯があるためだ。 テヘランの外交筋によれば、イラン当局は非公式ルートを通じてカダフィ大佐に対し、イランの核開発計画や核兵器運搬用とされるシャハブ弾道ミサイルの詳細をIAEAや米国などに明かした場合は「報復措置」を取ると警告した。 イラン側にとって報復の強力な手段となるのは、リビアの反カダフィ過激派組織、「リビア戦闘イスラム組織」(GICL)。GICLは九七年にリビア国内でテロ攻撃を企てたとして主要メンバーが国外追放されたが、その後アフガニスタンで国際テロ組織アル・カエダと連携。現在はイラン革命防衛隊の手厚い保護の下で軍事訓練を受けながら、活動再開の機会をうかがっているという。 イラン側はこれまで、GICLがアル・カエダの作戦に加わることは黙認しつつ、カダフィ大佐との関係からリビアに送ることはないとしてきたが、同大佐の言動次第では今後そうした保証はない旨通告したようだ。

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