富士通が千六百億円を投じ、三重県に半導体工場を建設する計画を打ち出した。三期連続赤字の不安が拭えない中、ソフト・サービス事業からモノ作りへの回帰戦略だが、この工場建設がアナリストたちの不評を買っている。 同工場はデジタル家電向けのシステムLSI(複合集積回路)の生産を手がける予定だが、この分野では東芝やNECの後追いになる。工場の稼動が予定される二〇〇五年は半導体価格の波が下降局面に入ることもあり、富士通への評価を引き下げるアナリストが相次いだ。 さらに気になるのが、提携関係にある米サン・マイクロシステムズの経営不振。同工場で生産するシステムLSIについて富士通は、サンへの供給にも期待を寄せている。ところが、そのサンはこのほど米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズから「投資不適格級」まで格下げされた。二〇〇三年十―十二月期まで11四半期連続の減収、3四半期連続の最終赤字と一向に業績回復のメドが立たないからだ。「期初見通しどおりの業績を残せないなら、責任を取って辞任する」という富士通・黒川博昭社長の去就が早くも注目されている。

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