フランスの流通最大手カルフールが中国市場に本格的に照準を合わせ始めている。今年一―四月期だけでも八店のハイパーマーケット「カルフール」を開店。また昨年に投入したハードディスカウント(格安量販店)「ディア」については、今後四年間で北京や上海を中心に計六百店の出店を予定している。三月中にはスーパーマーケット「シャンピオン」の一号店をオープン。アジア地域で初めてハイパー、ハードディスカウントにスーパーを加えた三段構成の戦略を始めることになる。 大規模な出店攻勢をかける「ディア」は、PB(プライベートブランド)商品を中心に青果や牛乳といった食品から洗剤など非食品まで格安商品を集めたチェーン店。フランスのほか、スペインなど世界八カ国で展開している。中国市場での展開にあたっては、中国スーパー最大手の聯華超市と提携し、『上海ディア流通聯華』を創立。販売価格はハイパーよりも平均一〇%割安と、安さで勝負する商法で「鋭い価格感覚を持った中国の消費者にぴったり」(同社広報)としている。 国際戦略はカルフールにとって、新しい取り組みではない。一九七三年に隣国スペインにいち早く出店して以来、現在は計三十カ国に進出。「ローカライズ」と呼ぶ各国の特性に適した哲学で、出店を続けている。中国の場合、カルフールのこの店舗哲学がぴったりはまった。従来店では駐車場にする付設スペースを大量の自転車をとめられる駐輪場にし、現地生産品をディスカウントで販売する商法で、進出から八年を経て、二〇〇三年の中国市場の売上高は十三億二千五百万ユーロに膨らんだ。既存店ベースでも売り上げは前年比三・二%増加している。

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