遅すぎたリコールに非難の集まる三菱ふそうトラック・バスが、日本の自動車メーカーとして初めて外資の子会社となった。親会社の三菱自動車が、ふそうの所有株式の二二%を独ダイムラークライスラーに売却し、ダイムラーの出資比率が六五%となったのだ。「三菱自動車の経営に口を出す三菱商事や三菱重工業以上の株式を握ることで、ふそうの経営を完全掌握するのが目的」(大手国内自動車幹部)とされるが、それもつかの間、世界二位のトラックメーカー、ボルボ(スウェーデン)に売却する構想が進んでいるという。 ボルボ側にも渡りに船だ。世界四位のトラックメーカー、スカニア(同)の株式を買収したものの、EUなどの独禁法上の問題から手放さざるをえない。そこで「株式売却で得た資金を元手にふそうを買収しようと水面下で動いている」(国内自動車幹部)とされる。 一方、ダイムラーはクライスラー部門が不振。ダイムラー内部からは「リコール隠しや販売不振など、ふそうと提携するうまみはない。リコールの表明で縁切りの口実もできた」との声が漏れてくる。 世界を巻き込んだトラック業界の再編が起こりそうだ。

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