日本郵政公社が国際郵便市場への本格参入を目指し、今秋に予定していた北京と上海での連絡事務所設置に、暗雲が立ち込めている。中国国家郵政局が、積極的に物流事業を国際展開している欧米企業を引き合いに、事務所設置に難色を示しているためだ。 日本政府の経済財政諮問会議は、民営化後の郵便会社が国際物流事業を積極展開することを容認。郵政公社の生田正治総裁も「主戦場はアジア、特に中国」と強い意欲を示しており、「最後の巨大市場」である中国への足場作りに着手。連絡事務所は、経済成長が続く中国市場の物流動向など情報収集を主な業務とする計画だった。 しかし、関係者によると中国当局は、独郵便企業ドイツポストが傘下の国際物流大手DHLを通じて中国市場を席巻している状況を踏まえ、「郵政公社も民間企業と連携し、同じような道を歩むのでは」と警戒感を示しているという。 ある公社幹部は「中国からの反発は予想以上。最終調整にはもうしばらく時間がかかる」と述べ、計画段階での見通しの甘さを認めた。郵政公社が国際事業展開へ舵を切る第一歩となるはずだった初の海外拠点設置。そのスタートでのつまずきだけに、国際戦略の見直しを迫られるのは必至だ。

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