パウエル米国務長官が来年、世界銀行総裁に就任するのではないかとの噂が飛び交っている。ワシントンの消息筋によれば、来年五月末に二期目の任期が満了となるウォルフェンソン総裁の後任としてブッシュ大統領が強く推したい考えで、関係方面への根回しを始めているという。 大統領としては、かつて一九六八年にマクナマラ国防長官が世銀総裁に“天下り”した前例を想起、世銀に対する米国の影響力を引き続き維持したい意向のようだ。「パウエル世銀総裁」なら、初の黒人総裁として開発途上国の受けもいいと考えている節もある。 パウエル国務長官は、イラク問題をはじめ対外政策をめぐってチェイニー副大統領やラムズフェルド国防長官らのタカ派と対立関係にあるとされ、これまでもたびたび辞任説が流れたのは周知の事実。昨年暮の前立腺がん手術以後は強気の発言とは裏腹に気力が落ちているともいわれる。 ただし同消息筋は「十一月の大統領選でブッシュ氏が再選を果たすことがすべての前提だ」と述べており、民主党のケリー氏が当選すれば、「パウエル世銀総裁」は幻の人事となる公算が大だ。

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