中国が三月一日、北朝鮮による麻薬密売を摘発したことを初めて公表したことが日米の公安当局の間で注目されている。米国務省が各国による麻薬取締りに関する二〇〇四年版報告書を公表した日に重なるだけに、北朝鮮の麻薬輸出を問題視する米国に中国が配慮したものと見られ、公安筋は「今後、麻薬問題で日米中の連携が進む可能性がある」と指摘する。 北朝鮮の麻薬密売はこれまで日本を舞台としてきたが、一昨年の小泉首相の北朝鮮訪問を機に、日本国内の取締りが強化され、中国ルートにシフトしているとされる。米報告書でも中国の密売人と北朝鮮の工作員が共謀し密輸していることを記している。 中国は清時代の阿片など麻薬の蔓延で国が内部崩壊した経験を持つ。今回、中国があえて公表に踏みきったのは、米国などと連携し摘発を強化していくとの強い意思表示ともとれる。米報告書も北朝鮮が「国家の指導で薬物生産と密輸を行なっているとの疑いを強めており、引き続き注視していく」と警戒を強める方針を示しており、麻薬密売をミサイル輸出とともに外貨獲得源としてきた北朝鮮への打撃は大きそうだ。

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