共産党は時計の針を逆戻りさせるのか

執筆者:林玲2004年5月号

志位委員長の求心力が急速に失せるのを尻目に、今後のシナリオを描いたのは、不破議長ともう一人、知られざる「ナンバー2」の男だった。 七月の参議院選挙の結果いかんでは、ひとりの野党党首の更迭があるかもしれない。志位和夫・共産党委員長である。 今年一月十三日から開かれた第二十三回共産党大会は、初日から大荒れとなった。志位が、「夏の参院選前までに『しんぶん赤旗』読者を昨年総選挙時の一三〇%(に)増やす」との方針を突然発表したためである。 代議員たちは泡をくった。代議員の多くは読者拡大(拡販)の第一線をになう地方議員、地区や県委員会の常勤者(専従活動家)だ。二日目以降の討論(代議員発言)では、当然、一三〇%拡大目標への態度表明を迫られる。初日夜は、読者拡大について自発的な討論会や打合せを遅くまでせざるをえない騒ぎとなった。 党内には、この大会で人事が刷新されるだろうとの見方が強かった。焦点は志位委員長だった。筆坂秀世前政策委員長の「酔っぱらいセクハラ」事件の際の「党員は党外で禁酒」発言の迷走、総選挙での他党党首よりはるかに少ない演説回数に示された行動力のなさなどが原因で、志位の求心力は急速に低下していた。本人もそれを知ってか、逃げの行動が目立っていた。大会前の党発行の雑誌には、大会に向けてのプレゼンテーションが委員長自身によってなされるのが恒例だが、『前衛』『月刊学習』『女性のひろば』のいずれでも、原稿執筆を依頼され引受けておきながらドタキャンし、市田忠義書記局長に押し付けてしまった。

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