韓国の政治・社会の変化は想像をはるかに超える。総選挙にあらわれた“左シフト”は、「金正日・統一大統領」の悪夢さえ現実化しかねない。[ソウル発]韓国の総選挙(四月十五日)は与党ウリ党が過半数を占め大躍進した。盧武鉉大統領も憲法裁判所による弾劾訴追の最終判断は残っているが、世論的には“再信任”されたかたちだ。これに対し野党ハンナラ党も当初の惨敗の見通しから何とか巻き返し、ウリ党の百五十二議席に対し百二十一議席まで迫った。予想以上の“善戦”といっていい。これは党の起死回生策として急遽、起用された女性党首、朴槿恵代表(五二)の人気のお陰だった。 朴槿恵代表はこれで一躍、ハンナラ党の有力な次期大統領候補となった。うまくいけば韓国初の女性大統領になれる。二〇〇七年の次期大統領選に向け、その動向は今後、何かと注目されることになろう。「次期」を語るのは多少、早すぎるかもしれない。しかし盧武鉉政権については「弾劾明け」の後、意外に早くレームダック状況が始まるとの観測もある。ウリ党は早くも長期執権構想を言い出しているが、ここで、政権奪還を狙うハンナラ党の「次期」を目指す人物事情に触れておくのも悪くないだろう。

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