FBI(米連邦捜査局)などの協力を得てイスラム過激派狩りを進めているサウジアラビアだが、いっこうにテロ事件が収まる様子が見られない。イラク情勢の悪化と並行するように、四月に入ってからはむしろ激化している。 主な事件だけでも四月二十一日の首都リヤドでの内務省諜報機関ビルへの自爆テロ、五月一日のヤンブーでの米英など石油企業関連従業員の射殺などが続発。四月中旬にはリヤドで爆発物を満載した車両数台が発見されている。 ヤンブーでの事件直後にアブドラ皇太子はシオニスト(親イスラエル主義者)が背後にいると発言した。サウド外相はヤンブー事件の犯人がイスラエルとつながりのあるロンドンの反政府組織と関係していたという、さらに突っ込んだ見方を示している。 発言の真意と信憑性は定かでない。が、九・一一以降、米国がとってきた反サウジ・キャンペーンの主導者はブッシュ政権内外のシオニスト勢力だとサウジが見ているのも確か。大統領選を控え石油価格高騰と中東情勢悪化という二大問題に揺さぶられているブッシュ政権にとって、サウジの反旗は命取りになりかねない。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。