プーチン大統領の訪日が来年に延期となるなか、中露間では年内に大型首脳交流が続き、ロシアの中国重視が一段と鮮明になった。 中露間では、四月に外相会談、国防相会談が開かれたほか、曹剛川国防相が六月、温家宝首相が九月に訪露。プーチン大統領も十月に訪中する。上海協力機構首脳会議など国際会議の場で年内にさらに三度首脳会談を開く予定だ。今年は国交樹立五十五周年という「中露にとって特別な年」(プーチン大統領)であることに加え、兵器と石油の思惑が絡んでいる。 欧州連合(EU)は米国の反対を押して、近く対中武器禁輸を解除する予定で、EUの軍需産業は中国を最重点市場としている。これまでロシアの兵器輸出の半分近くを中国が占めただけに、ロシアにとっては脅威だ。首脳外交を通じ、プーチン大統領自ら「武器の商人」になりそうだ。 中国側もロシア・東シベリアからの石油パイプライン敷設構想で日本に逆転されているだけに、首脳交流を通じて再逆転をクレムリンに強く働きかけよう。「兵器と石油の取引」が実現すれば、日本政府が目論むナホトカルートの石油パイプライン計画は水泡に帰す可能性がある。

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