二〇〇四年度中に国会に提出される商法などの改正案で、自社株式を現金代わりに使える株式交換により海外企業が国内企業を買収できるようにすることが検討されている。最大の標的となるのは「電機業界と医薬品業界」(海外証券会社幹部)。 電機各社の時価総額はソニーと松下電器産業が四兆円前後、日立製作所が二兆六千億円、富士通やNECは一兆五千億円前後に過ぎない。先頃プラズマディスプレーの特許侵害で富士通から訴えられた韓国のサムスン電子は、純利益の一、二年分で富士通を買える。「豊富な特許や技術を持つ国内電機は標的になりかねない」と、多くの電機業界幹部が懸念する。 医薬品業界も事情は同じで、最大手の武田薬品工業でも時価総額は四兆円前後。山之内製薬と藤沢薬品工業は外資による買収を嫌い合併したが、商法改正で買収圧力が増すため、「国内再編が加速する」(大手証券アナリスト)という。 海外勢の買収攻勢に対抗するには、時価総額を引き上げるしかないのが実情。かつてITバブルを正当化する理屈と批判された「時価総額経営」が、再評価される可能性もありそうだ。

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