アジア開発銀行(ADB=本部マニラ)の首脳人事が話題になっている。四十年近い歴史を持つ同行で初めて女性が副総裁に就任。その出身国が人口六百万人足らずの小国ラオスである点でも、異例中の異例という人事なのだ。 当の女性はラオス政府のケンペン・ポルセナ前外務次官で、四月に財務・管理担当の副総裁に就任した。外務次官の前には外国からの援助や投資関連の責任者を務めるなど経済関係の要職を歴任。ラオス・日本友好協会の副会長を務めたこともある。 実務経験の豊富なやり手といわれ、英語、フランス語、ロシア語を操る。本人をよく知るNGO(非政府組織)関係者によれば「とても聡明な人。NGOの活動にも大変理解がある」。父親はラオス内戦中に右派に暗殺された中立派政府の外相という。 ADBの首脳人事は加盟国にとって国威発揚の場でもあり、社会主義の開発途上国ラオスからの副総裁誕生は異例中の異例。大河メコンの流れるラオスに要職を与えることでメコン流域開発に力を入れるADBの姿勢を強調したと見る向きもある。

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