昨年末に三十九億五千万ユーロ(約五千二百五十四億円)相当の証券や現金が“消滅”するなど不正経理疑惑が浮上したイタリア食品メーカー最大手のパルマラットが再建計画を打ち出した。だが、疑惑の解明が進まず、同国の会計監査体制への不信も払拭し切れていない今、再建の行方になお不透明感が漂っている。「皆さんの信頼と協力が必要だ」。三月二十六日、北イタリアの経済都市ミラノ。不正経理事件の発覚後、初めて開催された同社の債権者会議で、管財人エンリコ・ボンディ氏は、取引銀行や大株主ら百五十人を前に熱弁を振るった。 計画の骨子は(1)事業地域を三十カ国から十カ国に縮小し、工場数を百三十二から七十七に削減(2)従業員数を三万二千人から一万七千人に圧縮(3)商品ブランドを百二十超から三十に絞る――など。事業は牛乳、果汁飲料、乳製品の生産・販売に特化し、地域は伊、スペイン、露、ルーマニア、加、豪、南ア、コロンビアなどに絞る計画だ。 これに伴い売上高は五十八億六千万ユーロから三十八億ユーロに縮小する一方、EBITDA(利払い・税引き・償却前利益)は一億五千五百万ユーロから二億四千万ユーロに拡大。資産処分に加え、再上場の際に債務を株式に交換する手法で百四十二億七千万ユーロの負債の圧縮を目指すという。

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