UFJ次の一難は「物言う株主」

執筆者:2004年7月号

 UFJ信託銀行を住友信託銀行に売却し、危機的な水準まで落ち込んだ株主資本をどうにか回復したUFJグループ。だが、「UFJの信用不安は根強く残る」(ライバル都銀幹部)との見方は多い。「オーバーバンキング(金融機関の過剰)の現状を打破したい」と金融庁関係者も漏らすように、UFJ銀行への公的資金再注入を軸にした抜本策が動き出す地合いは整っている。 こうした中、市場関係者からはUFJホールディングスの筆頭株主であるモナコの投資ファンド、ソブリン・アセット・マネジメントが「保有株式の売却を検討し始めた」との指摘が出てきた。ソブリンはUFJホールディングス株の五%超を保有しているが、「安定した配当は望みにくい」(銀行アナリスト)。そのため、株式を保有し続けるメリットは少なく、外資系銀行などに株式を譲渡する可能性が取り沙汰されているのだ。 ソブリンはかつて筆頭株主の立場から韓国やロシアの大手企業の経営に介入した「物言う株主」。今後は株式売却をちらつかせながら、口をはさんでくる可能性もある。UFJ経営陣にとって頭の痛い問題がまた一つ増えそうだ。

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