あらかじめハードルを下げた決算の公約は守れるかもしれない。だが金融庁、再生機構、UFJの間では、「処理」方法の詰めの作業が進んでいる。「あのリストもこれで全部カタが付く。方向性は見えてきた」――。ある政府関係者は五月末、こう言い残して地元選挙区に向かった。 彼の指すリストとは、金融コンサルタントの木村剛氏が二〇〇一年六月ころに作成したとされる、いわゆる「三十社リスト」のこと。木村氏はその存在を否定したが、「危ない会社の一覧表」として週刊誌などで盛んに取り上げられたことをご記憶の読者も多いだろう。 リストでは名が伏せられていたものの、業種からどの企業であるかが特定され、実際、マイカル、青木建設などが半年以内に法的整理に追い込まれた。他にも熊谷組やフジタなどは債権放棄を柱とする私的整理を余儀なくされた。結局、三年かけて「危ない会社」は事業再編や破綻などによってことごとく整理され、原形をとどめなくなっている。 リスト中で最後まで明確な再建軌道に乗ることができず、その経営が漂流状態にある企業を、先の政府関係者は「二つのD」と呼んだ。大京とダイエーのことだという。ともにUFJ銀行が主力取引行であるこの二社が、産業再生機構で企業再生される見通しが日増しに強くなっている。

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