日本国債の「長すぎた春」

執筆者:2004年7月号

債券価格の下落リスクに誰もが気づいているのだが、結局、銀行は国債を買い続ける――。超低金利時代の終幕で膨らむ「国債バブル」の構図。 アメリカで利上げが秒読みに入り、世界的な超低金利時代は終わりを迎えようとしている。米国が九・一一テロ後、戦時の国内経済対策として世界恐慌以来の大幅利下げに動いたように、日本でもなりふり構わぬ金融緩和策はデフレと戦う緊急避難措置だった。 長期金利の指標となる新発十年物国債の利回りは六月七日、二〇〇一年三月の量的緩和以来最高の水準に上昇。その後、約三年七カ月ぶりとなる年一・八%台も突破した。日銀は今年四月の金融政策決定会合から量的緩和の「出口政策」に向けた内部討議を始めたが、低金利に慣れ切った日本の金融市場に金利反転を受け止める力はあるのだろうか。マグマは金利上昇のインパクトが直撃する国債市場に溜まっている。 六月一日、新発十年物国債の入札。 毎回のことだが、正午の締め切りを前にして、銀行や証券会社の債券担当者の胃は痛む。国債入札は直前の金利水準のほか、顧客や同業他社の需要動向をみながら応札する。今回、財務省が提示した表面利率は二カ月ぶりに引き上げられ一・六%という昨年九月以来の好条件だ。

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