世界五位の石油会社、仏トタルがロシアの中堅石油会社シブネフチの買収に名乗りを上げた。プーチン政権の政治圧力を受けた石油大手ユコスが、「(昨年四月に発表した)シブネフチとの合併解消に追い込まれる」と読んだからだ。 シブネフチ買収の意向については、トタルの最高財務責任者(CFO)を務めるカステーニュ氏が五月上旬、英フィナンシャル・タイムズ(FT)紙上で認めた。「機会があれば」との条件付きだが、これはユコスがシブネフチ株を手放すケースを意味する。 ユコスは昨年末までにシブネフチの発行済み株式九二%を取得し、同社と合併手続きをほぼ完了していた。ところが、昨年十二月のロシア下院選を前に政治的野心を強めたホドルコフスキー前社長が逮捕されるなどプーチン政権と対立。政権側に寝返ったアブラモビッチ氏らシブネフチの旧経営陣から「シブネフチ株の取得は違法だ」と訴えられ、合併解消は避けられない情勢になった。 四月下旬にもFTは、トタルがシブネフチ株二五%を四十億ドルで買収する計画を進めており、プーチン政権がゴーサインを出したと報じていた。これに対してクレムリン筋は「トタルの計画は知っている」と思わせぶりな発言をしている。

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