予想外の政権交代でも続くインド経済改革

執筆者:ラムタヌ・マイトゥラ2004年7月号

シン新首相自身はまちがいなく改革派だが、政権運営には左翼政党の協力が不可欠。はたして今後のインド経済の行方は……。[ニューデリー発]四月二十日以来、五回に分けて全土で投票が行なわれてきたインド総選挙は、五月十三日の開票の結果、政治家から専門家までを驚愕させることとなった。政権維持は確実とみられていた国民民主連合(NDA)が大敗を喫したのだ。代わって下院の主導権を握ったのは、多くの地域政党と最大野党の国民会議派(INC)とが結成した統一進歩連合(UPA)である。 インド下院は五四五議席からなり、二七三議席が過半数。今回勝利したUPAも獲得した議席は二一七で、別に五九議席を押さえた複数の左翼政党の支持を得て過半数を確保した。一方、下野したNDAの議席は一八九にとどまっている。 政党別にみると、UPAの主軸である国民会議派は、前回一九九九年の総選挙の際より三一議席を増やしたものの、単独では一四五議席。NDAを率いるインド人民党(BJP)は四四議席減の一三八議席で、下院第二党となった。 この二大「全国」政党の議席を合計しても過半数をやや上回るだけという選挙結果は、最近のインド政治の大きな潮流を象徴している。地域に根ざす政治組織が国政を動かしているのだ。そうした地域政党を巻き込んでの連立政権には、運営の難しさや不安定さがつきものだ。

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