いよいよ迫る「ローマ法王後継者選び」

執筆者:シルヴィオ・ピエルサンティ2004年8月号

八十四歳で体の弱ったヨハネ・パウロ二世の「退位」はあり得るのか。すでにバチカン内部では次期法王選びの前哨戦が展開されている。[ローマ発]「法王が世を去っても、後釜はたちまち見つかる」――これはいささかシニカルなイタリアの古い諺だが、実際、この世に代えの利かない者はいない。たとえそれが地上におけるキリストの代理たる法王であったとしても。 では、もし法王が“生ける屍”となった場合はどうするのか。医学関係者によれば、現法王のヨハネ・パウロ二世がそうした状態になるのも、そう遠くはない。唯一の解決策は退位だろうが、ローマ法王庁はこの形は避けたいらしい。カトリック教会二千年の歴史でも、法王の退位はわずか四度、近代に入ってからは、一度も行なわれていない。世界各地の司祭たちにしても、二人の法王が存在しては、どちらを精神的支柱にすべきか信徒が戸惑うだろうと心配する。とりわけ新旧二人の法王に路線対立がある場合には。 ヨハネ・パウロ二世は、かなり進行したパーキンソン病に苦しんでいる。心臓もひどく弱っており、自力で歩行することができない。もともとは十カ国以上の言葉を流暢に駆使するが、いずれの言語にしても、その発する言葉ははっきりしない。涎がとまらず、手の震えも激しくなってきた。側近がスピーチを代読することも多くなり、ミサの間も放心状態でいるようなことが珍しくない。

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