資金調達が困難であるがゆえに、農業の構造転換も進まない。そして、農村部の購買力不足からくる根本的な「消費」の弱さ――。人口十三億の三分の二が住む農村を無視しては、もう中国経済を語れない。「GDP(国内総生産)に占める消費の比率が低すぎる。これは内需の安定した拡大にとってマイナスだ」――。今年三月に開かれた全国人民代表大会(全人代)で、温家宝首相はこう明言した。 ここで温家宝首相が内需のアキレス腱だと指摘している「消費のGDP貢献度の低さ」は、所得低迷が続く農家の購買力不足が最大の原因である。なにしろ人口で言えば中国全体の三分の二を占める農村部の人々の消費が、全体の三分の一にしかならないのだ。 中国の農村経済と都市経済の格差は、いまや世界の最高レベルまで拡大した。特に農家と都市住民の所得格差は、社会の安定を脅かし、経済の持続的発展を揺るがしかねない問題だ。バブルとさえ言われる沿海部のきらびやかな発展の陰で、農村は逆に疲弊の度合いを高めている。 その大きな理由の一つに、農村金融システムが未整備であることが挙げられる。WTO(世界貿易機関)加盟によって、中国の農業も市場開放の波に洗われている。これに対応するためには、農業の高付加価値化や農産物の商品化が不可欠だ。こうした構造転換に、元手となる資金が必要となるのは言うまでもない。また近年、農村部で問題になっている余剰労働力を解消するために、農家は新規事業を行なう必要もある。

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