参院選―不発に終わった「小泉サプライズ」

執筆者:大原一三2004年8月号

 これから三年後の衆参ダブル選挙を睨んだ自民党と民主党の駆け引きが始まるだろう。自民党にしてみれば、元来強い衆院選を先延ばしして、参院選にくっつけることで相乗効果を狙いたい。一方、民主党は今回の勢いが続いているうちに、早い段階で衆院選に持ち込みたいところだ。 今回の参院選の争点はイラクへの自衛隊派遣ではなく、年金だったと感じている。国民はより身近で切実な問題に敏感に反応したのだ。今は働き手四人で老人一人を支えているが、五十年後には一・五人で一人を支えることになる。だから負担増、支給額削減は避けられない。自民党はそのことに正面から取り組むべきだったが、正論を打ち出すことから逃げた。逆に、民主党の選挙対策はうまかった。まず、自民党に年寄りや既得権益の代表者などの苔生した候補が目立つ中で、民主党は若くてシャキシャキした候補者を立て、見栄えのいい選挙戦を戦った。年金については「民主党が天下を取ったら、掛け金も上げず、手取りも減らない」というバラ色のプランを前面に出した。そんな打ち出の小槌があるなら出してもらいたいところだが、これがウケた。「食えなくならないよう何とかする」と言った党に票が集まった。

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