サウジアラビアに住む外国人を標的としたテロが本格化すると見て、外交筋は警戒を強めている。サウジ治安当局は六月十八日に過激派リーダーのムクリン容疑者を射殺したことで胸をなでおろしているものの、イギリス政府は六月下旬、特殊部隊SASの革命対策専門要員二十五名を英大使館の警護要員としてリヤドに派遣した。 こうした中、サウジに進出している欧米系企業には、従業員の大量離職という問題が出来し始めている。英BAEシステムズはサウジ勤務の従業員に月額一千ポンド(約二十万円)の「危険手当」を支給。家族がバーレーンなどに脱出する場合の金銭的負担を軽減することで、従業員の確保を図っている。一方で、リヤド在住のあるビジネスマンは、いつサウジを脱出してもすぐに就職活動ができるように、最近、自分の履歴書を書き直したと打ち明ける。 リヤドの主な欧米人向け居住地では入居率が五―一五%低下した。帰国者が家具などの投げ売りを行なうパーティーでは、台所用品から高級外車までもが買い手を求めて並べられるのが現状だ。現地では「『退屈でも安全なサウジ』はもう戻らない」との悲観的な雰囲気が広がっている。

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