反政府武装組織ネパール共産党毛沢東主義派のテロが続くネパールで、ギャネンドラ国王と主要政党が対立、混迷が深まっている。 国王は六月二日、二年前に自ら解任したデウバ元首相を再任し事態の収拾に乗り出したが、最大政党のネパール会議派(コイララ党首)などは協力を拒否。首相は統一共産党や親国王派の政党などの支持を得て七月五日、ようやく実質的な内閣を発足させた。 統一共産党は会議派などとともに四月以降、政治的実権を握る国王を非難する街頭デモを続けてきた。その突然の“変心”は「政治的ポストが目的か」などと憶測を呼び、政党間の亀裂も露呈。政党政治に対する国民の不信感も拡大している。 デウバ首相の最大の課題は、国王が三月に公言した一年以内の総選挙実施だ。しかし、国土の四分の一を毛派が実質的に支配している現状ではとても無理。実現には毛派との停戦、和平交渉再開が必要だが、王制廃止・共和制樹立を唱える毛派との隔たりは大きい。デウバ首相は二〇〇二年にも毛派と和平交渉を行なったが決裂しており、双方の不信感も根強いものがある。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。