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池内恵の中東通信

池内恵(いけうちさとし 東京大学教授)が、中東情勢とイスラーム教やその思想について日々少しずつ解説します。

執筆者プロフィール
池内恵
池内恵 東京大学先端科学技術研究センター グローバルセキュリティ・宗教分野教授。1973年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻博士課程単位取得退学。日本貿易振興機構アジア経済研究所研究員、国際日本文化研究センター准教授を経て、2008年10月より東京大学先端科学技術研究センター准教授、2018年10月より現職。著書に『現代アラブの社会思想』(講談社現代新書、2002年大佛次郎論壇賞)、『イスラーム世界の論じ方』(中央公論新社、2009年サントリー学芸賞)、『イスラーム国の衝撃』(文春新書)、『【中東大混迷を解く】 サイクス=ピコ協定 百年の呪縛』 (新潮選書)、 本誌連載をまとめた『中東 危機の震源を読む』(同)などがある。個人ブログ「中東・イスラーム学の風姿花伝」(http://ikeuchisatoshi.com/)。

PKKは秘密裏に米国に対トルコ仲介を求める

こんな記事が出ていた。PKK urges US to mediate in its war with Turkey and admits to secret talks with Washington, The Telegraph, 17 August, 2015.トルコのクルド反政府組織PKKは、米国と仲介者(おそらくシリアのクルド組織・民主連合党=PYD)を通じて間接的に対話し…
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サウジでMERS感染が拡大中 9月の巡礼(ハッジ)での拡大が危惧される

気になる情報である。サウジでMERS(中東呼吸器症候群)の感染者が増えているという。リヤードのアブドルアズィーズ国王医療都市の病院で、感染者46名を出したため緊急病棟が一時閉鎖されたという。厚生省は8月9日から15日にかけて感染者21名と発表している。怖いのが、イスラ…
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トルコ再選挙でむしろクルド政党躍進で分極化激化?

トルコでは6月7日の総選挙の結果を受けて進められてきた連立協議が不調で、11月の再選挙が濃厚との見通しを先日伝えた。その見通しは変わっておらず、8月23日の連立組閣期限を越えれば、エルドアン大統領は再選挙を宣言しそうだ。しかし再選挙をやるとむしろクルド系政党のHDP…
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トルコの衝突はイスタンブールのドルマバフチェ宮殿に及ぶ

トルコはクルド反政府武装勢力PKKとの和平プロセスが崩壊し、紛争が激化し南東部各地や国境を越えたイラク側で、小規模の戦闘や空爆が続いている。それと直接の関係はまだ不明だが、8月19日、首都イスタンブールの、最人気の観光地の一つであるドルマバフチェ宮殿を2名の武…
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イエメン首都決戦が迫る 分裂深まるか

サウジ・UAE主導の連合軍が、亡命したハーディー大統領と政権の復帰を目指して、イエメンの地元親サウジ・新ハーディー政権勢力を支援して、最北部を拠点とし一時は南部まで全土を支配下に置いたフーシー派とサーレハ前大統領派から、国土を奪還する作戦を進めている。7月か…
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エジプトで「イスラーム国」呼応勢力がクロアチア人人質を斬首

エジプトのシナイ半島を拠点に活動する「イスラーム国シナイ州」が、8月13日、カイロ郊外で誘拐していたクロアチア人人質を斬首したと音声メッセージで発表した。Islamic State says in broadcast that it killed Croatian hostage, Reuters, August 13, 2015.すでに前日12日…
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シリアをめぐる地域大国・域外大国間の交渉が水面下で進む

トルコの内政の展開は、シリアをめぐる外交の変化との関連で重要性を持つ。シリア内戦の今後を方向づける諸要因の中で、トルコの姿勢は、決定的とまでは言えないが、最重要の要素の一つである。トルコは7月後半に、南部インジルリク空軍基地の対シリア「イスラーム国」空爆へ…
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エルドアンの野望は蘇るか AKPの支持率の高まり

11月の再選挙の公算が高まってきたトルコだが、6月7日の総選挙で単独過半数を失った与党AKPの支持率が上昇していることもその背景にある。トルコの世論調査会社MAKが8月4−8日にかけて行った調査によれば、今再選挙を行えば単独過半数を取り戻しそうな勢いだという。先週の…
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トルコの連立協議が決裂、再選挙の可能性高まる

トルコで8月13日、与党公正発展党(AKP)と野党第1党共和人民党(CHP)の連立交渉が不調に終わり、やり直し再選挙が行われる公算が大になってきた。Coalition talks between AKP and CHP fail, elections 'highly likely', Hurriyet Daily News (Reuters), August 13, 2015.T…
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通信が途絶え気味です

重要な論文の詰めの作業で頭を使い切っているので、中東通信が途絶えていました。辛うじて英語記事のリツイートだけは@chutoislamで行っています。お急ぎの方はそちらへ。論文から頭を休めるひとときにでも、ここ1週間の目立った動きを簡単にまとめる予定です。
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サウジアラビア南部アブハーの自爆テロに「イスラーム国」の「ヒジャーズ州」が犯行声明

8月6日のサウジアラビア南部アスィール州アブハーでの、緊急特殊部隊の拠点にあるモスクへの自爆テロで、「イスラーム国ヒジャーズ州」が犯行声明を出した。「イスラーム国」は各地に「州」を設定したと宣言し、それぞれの地域で呼応する集団を扇動している。アラビア半島の…
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サウジ最南部イエメン国境に接したアブハーで自爆テロ

速報。8月6日午後、サウジアラビア最南部のイエメン国境近くにあるアスィール州の州都アブハーで、「特殊緊急部隊」のモスクに自爆テロが行われ、13人(15人とする報道も)が死亡したという。【追記:リンクの臨時ニュースは随時更新され、死者が15人、「イスラーム国」…
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オバマがイラン核開発合意の擁護演説でネタニヤフを痛烈に風刺

米国オバマ大統領が8月5日に、ワシントンのアメリカン大学で行った演説の全てを使って、イラン核開発交渉の合意を擁護した。合意内容の擁護だけでなく、国際的な反対や、そしてなによりも、米議会に対する、包括的な反論の演説となっている。合意を議会が承認した時と否決し…
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シリア分割も現実的に考えなければならない時期に

シリア内戦の結末は、結局シリア分割に至るしかないのかな、という記事。Syria approaching de facto partition amid Assad military setbacks, The Guardian, 4 August 2015.以前から言われていたことではあるが、アサド政権が全土に支配を及ぼす軍事力を欠いていることをア…
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米国がシリア空爆の目的に反アサド政権勢力の保護を加える

米国はシリア空爆の目的を拡大して、トルコが提唱するシリア北部の安全地帯へのアサド政権の攻撃を阻止するためにも空軍力を用いる方針に転じたと報じられている。匿名の米高官の発言を、ウォール・ストリート・ジャーナルやロイターが伝えている。U.S. to defend Syrian rebe…
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トルコ南東部でPKKがトラック爆弾で自爆テロ、パイプラインも爆破

8月2日早朝、トルコ南東部のアグリで爆発物を積んだトラックによる自爆テロが行われ、兵士少なくとも2人が死亡、24人が負傷。クルド反政府武装組織PKKによる犯行とみられている。Soldiers killed in suicide blast in eastern Turkey, al-Jazeera English, 2 August 2015.…
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ターリバーンの新アミール選出手続きには異論も出ている

ターリバーンのオマル師の死亡が発覚し、7月30日にはターリバーン指導部がマンスール師を新たな指導者に選出したと発表したが、選出手続きに疑義も出て、不透明感が出ている。Taliban leaders dispute appointment of Mullah Mansoor, al-Jazeera English, 31 July 2015.「ア…
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良いターリバーンは死んだターリバーン?

ターリバーンのオマル師の死(2013年だが)の表面化で、パキスタン・アフガニスタン政府と立ち上げを試みてきた和平交渉の行方が気になる。とりあえず交渉は一時中断を余儀なくされるようだ。Afghanistan peace talks on hold amid Taliban turmoil, 31 July 2015.現地での交…
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ターリバーンが新指導者を選出、和平交渉は再開するか

ターリバーンが、オマル師の死を認め、アフタル・マンスール師(Mullah Akhtar Mansoor)を新たな指導者に選出したと発表した。Taliban elects new leader after Mullah Omar's death, al-Jazeera English, 30 July 2015.オマル師の死亡の日付は2013年4月23日であった…
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アフガニスタン政府もオマル師の死亡を確認

29日に、アフガニスタン政府も、2013年にパキスタンでオマル師が死亡していたという情報を確認。ターリバーンに、和平交渉への参加を呼びかけている。Afghan government says Mullah Omar dead, al-Jazeera English, 29 Jul 2015.しかしターリバーン側は否定している。なにし…
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