ライブドア堀江貴文は“救世主”にあらず

執筆者:喜文康隆2004年9月号

「投資家が『砂上の楼閣』をつくれるようなストーリーが描ける銘柄を探そう」(バートン・マルキール『ウォール街のランダム・ウォーカー』)     * プロレス流の表現をすれば、讀賣新聞グループ本社の会長・渡辺恒雄は日本一のヒール(悪玉)である。 近鉄球団のオリックスとの合併が表面化した六月十三日以降、あれよあれよという間に、パ・リーグを四球団にしたうえで十球団の一リーグ制へ移行という構想の流れをリードし、あらゆる局面に登場したのが、渡辺である。 六月三十日、これとは別に近鉄球団買収を提案するインターネット関連企業「ライブドア」の若きオーナー堀江貴文が登場したが、渡辺は問題にしなかった。「プロ野球には伝統がある。カネがあればいいってもんじゃない」。渡辺は堀江を「ベンチャー成金」と一蹴する。 また、プロ野球選手会会長として、スト権をちらつかせたヤクルト球団の古田敦也を「たかが選手が分をわきまえなければ」と切り捨て、近鉄の球団合併に反対する署名活動に巨人軍ナインも参加すると、巨人軍の選手会長である高橋由伸について、「オレも学生のときは共産党だった。だけど彼の年のときには卒業してたよ。大衆迎合的な真似はしないほうがいいよ」と諫める。

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