金正恩「国防委入り見送り」の内実

執筆者:平井久志2011年4月11日

 北朝鮮は4月7日、最高人民会議第12期第4回会議を開催した。注目された金正日(キム・ジョンイル)総書記の3男・金正恩(キム・ジョンウン)党中央軍事委副委員長の国防委員会の第1副委員長や副委員長への就任はなく、「後継体制」づくりの急進展はなかった。
 最高人民会議の議題の1つであった「組織(人事)問題」における決定は以下の4項目であった。
①全秉浩(チョン・ビョンホ)を国防委員会委員から外し、朴道春(パク・トチュン)党政治局員候補を国防委員にする。
②人民保安部長に李明秀(リ・ミョンス)国防委行政局長を任命する。
③最高人民会議法制委員長に張炳奎(チャン・ビョンギュ)最高検察所長を選出。
④李泰男(リ・テナム)副首相を病気のため解任する。
 北朝鮮の公式報道は2月後半から、金正恩を党政治局常務委員である崔永林(チェ・ヨンリム)首相や李英鎬(リ・ヨンホ)軍総参謀長より先に紹介するなどし、金総書記、金永南(キム・ヨンナム)最高人民会議常任委員長に続く序列3位の扱いをしてきた。こうしたこともあり、後継体制構築のために3男、金正恩が国防委員会の第1副委員長か副委員長に就任するのではないかという見方が大方のものとなっていたが、現実はそうならなかった。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。